- 2013-07-08 (月) 7:07
- Google analytics
この記事の所要時間: 約 6分9秒
Googleアナリティクスプレミアムの機能だったアトリビューションモデリングが、モデル比較ツールとしてプレミアムではない通常のGoogleアナリティクスでも使えるようになりました。
・アトリビューションモデル比較ツールとは
アトリビューションモデル比較ツールとは、マーケティングにおける各チャネルの効果を、Googleにて用意された5つのアトリビューションモデルを使用して評価する機能です。
・アトリビューションモデルとは
アトリビューションモデルとは、販売やコンバージョンをするための予算を、コンバージョンまでの経路にある各チャネルの接点にどのように割り振るかを決めたルールです。アトリビューションモデルは、5種類の広告目標とビジネスモデルを考えて用意されています。このモデルの結果に合わせて仮説をたてて、各チャネルにかける予算を調整し、さらにその結果を分析することで、コンバージョンパスを最適化していくのに役立てることができます。
・使用するモデルによって、コンバージョン値が変動する
注意点としては、使用するアトリビューションモデルによって、マーケティングチャネルごとに算出されるコンバージョン値(コンバージョン数)が変動するということです。主にコンバージョン経路の起点となるチャネルでは、「終点」アトリビューションモデルよりも「起点」アトリビューションモデルを適用した方がコンバージョン値が高くなります。
・各アトリビューションモデルの内容
各アトリビューションモデルの内容を、ヘルプにも記載されておりました例をふまえてご紹介します。また、ほとんど変化は見られませんが、このブログでの各モデルの計測値を貼り付けていきます。
例: 顧客が有料広告をクリックしてサイトAに初回訪問した。サイトAに初回訪問した1週間後にソーシャルネットワークのタイムラインにて流れてきたリンクをクリックし、再びサイトAに訪問した。そして、同じ日にサイトAに関連するメールでのキャンペーン(メルマガ)のリンクをクリックして、3度目の訪問をし、この訪問中にて商品の購入に至った。
「終点」アトリビューションモデル

「終点」モデルは、顧客が購入やコンバージョンに至る前、最後に利用したチャネル(この例ではメールチャネル)に、100%のコンバージョン値を割り振ります。Googleアナリティクスのマルチチャネル以外のレポートでは、この「終点」をデフォルトでコンバージョンとして使用しています。
使用方法: 「終点」モデルはマルチチャネル以外のレポートで使用するデフォルトのモデルであるため、他のアトリビューションモデルの結果を評価する際の比較対象として利用します。広告とキャンペーンが購入段階のユーザーにアピールするよう作成されている場合や、販売サイクルに検討段階が含まれていない場合は、終点モデルが有効です。
「起点」アトリビューションモデル

「起点」モデルの場合は、顧客が購入やコンバージョンに至る際に最初に利用したチャネルである、最初の接点(この例では有料広告チャネル)に100%のコンバージョン値を割り振ります。
使用方法: 初期のブランド認知を目的に広告やキャンペーンを掲載している場合は、この「起点」モデルが有効です。ブランド名やサイト名、会社名などが世間に浸透していない場合は、アピールとして行う広告やキャンペーンのキーワードやチャネルが重要となります。
「線形」アトリビューションモデル

「線形」モデルは、コンバージョンに至る経路の各接点(この例では有料広告、ソーシャル ネットワーク、メール)に対し、貢献度を均等に割り振ります。例のように有料広告、ソーシャル、メールとチャネルが3つであれば、100%を3で割り、各チャネルにに33.3%が割り振られます。
使用方法: 運用するキャンペーンの目的が、販売サイクルの全体を通して、顧客との接触を維持することであれば、この「線形」モデルが有効です。「線形」モデルでは、検討段階のすべての接点を重要と捉え、等しく均等に評価します。
「減衰」アトリビューションモデル

「減衰」モデルは、顧客が購入かコンバージョンした時点から、時間的に最も近い接点からコンバージョン値が割り振られます。上記の例では、顧客がメール経由でコンバージョンした日と同じ日にソーシャルネットワークからも訪問しているため、この2つのチャネルにほとんどのコンバージョン値が割り振られます。対して、初回訪問である有料広告をクリックしたのは、コンバージョンした日の1週間前になるので、有料広告にはコンバージョン値がほとんど割り振られません。
使用方法: 1日か2日などの数日のキャンペーンを展開する場合は、キャンペーン当日の接点により多くの貢献度を割り振ります。販売サイクルが短期間の検討段階だけで構成されている場合は、この「減衰」が有効です。
「接点ベース」アトリビューションモデル

「接点」モデルは、起点と終点の2つの接点に、それぞれ40%のコンバージョン値が割り振ります。中間点には残りのコンバージョン値が均等に分割して割り振られます。上記の例では、初回訪問である有料広告チャネルとコンバージョンに貢献した最終訪問であるメールチャネルに40%ずつが割り振られ、中間接点となる訪問のソーシャルネットワークには20%が割り振られます。
使用方法: 顧客に認知させたチャネルである最初の接点と、販売につながったチャネルである最後の接点を最も重視すると考える場合は、この「接点」モデルが有効です。
・アトリビューションモデル同士を比較する
アトリビューションモデルは最大3つまでを同時に選択することができ、選択したモデル同士を比較することができます。それぞれのアトリビューションモデル同士を比較することで、コンバージョンパス中のどのチャネルに予算を多く配分すれば、よりコンバージョン数を増やすことができる最適なコンバージョンパスとなるか、仮説をたてることに役立てることができます。
・アトリビューションモデル比較ツールによる費用データの分析
AdWords などの費用データをインポートしている場合は表示項目が追加され、費用データ関連の指標を比較、分析することができます。さらに、Adwords以外の費用データにおいても、ベータ版で提供されているコスト分析にて、費用データをインポートすることで、チャネルごとの費用対効果をより具体的に算出することが可能となります。

今まではマルチチャンネルで、どのようなコンバージョンパスがあるか、チャネルによってどのような間接効果が働いているのかを確認するまでに過ぎませんでした。
しかし、このアトリビューションモデルでの比較と費用データのインポートによる正確な費用対効果の試算により、攻めの施策を打ちやすくなったのではないかと感じます。
費用データをインポートするのにも手間がかかりますし、アトリビューションモデルを比較するのにも、まだまだ知識や経験が必要そうですが、このツールを有効活用することで、施策効果の最大化がさらにしやすくなるのではないかと思い、非常に楽しみなかぎりです。
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