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CSS Nite LP, Disk 24「インハウスSEO」に行ってきました
「撮影:飯田昌之」
CSS Nite LP, Disk 24「インハウスSEO」に参加してきました。
インハウスにてSEOを行う際の、施策の取り組み方や注意点、
SEOに対する考え方などのお話を
SEO業界の重鎮である方々からお聞きすることができました。
メモ書きとして、要点をまとめさせていただきましたので、
恐れながら感想とともに参考になれば幸いです。
インハウスSEO – 成功する担当者 失敗する担当者
株式会社アイレップ 渡辺 隆広 氏

「撮影:飯田昌之」
頼りになる担当者に成長するために必要なフレームワーク、姿勢、考え方
効率よく、無駄を省く、最善手を打てるようになるためのポイント
◯SEOの業務領域
SEOは年々、業務領域が広がっており、仕事は増えるばかり。
なぜ、こんなに広がったのか。
検索マーケティングの進化により、分析する事柄が増えてきた。
学ぶべき新機能や仕組みが格段に増えた。
ソーシャルが出てきた。
◯過去のSEOと現在のSEOの違い
10年前もコンテンツisキングだった。
10年前は、コンテンツisキングの言いたいことはわかるけど理想論だった。
やはりリンクが大事だった。
現時点ではコンテンツisキングが王道であり必須になった。
良質的なコンテンツを発信し続けることで自然リンクが増える時代になった。
ウェブ環境の変化でコンテンツisキングが現実的になった。
◯ビジネスとしてのSEO
会社の持っている資産をいかに活用するか。
会社のデジタルマーケティング戦略と連係、統合して
検索エンジンマーケティングに活かすことが大事。
マーケティング戦略の中でSEOを位置づけること。
マーケティング戦略の文脈で、SEOを駆使して
どうビジネスをドライブできるかを考えること。
◯ユーザーが何を考えて検索しているのか
顧客との接触、対話の方法としてSEOを捉える。
自分の顧客の検索行動をよく理解した上で、
彼らの疑問や悩みに答えられるウェブサイトを構築すること。
いつでも、サイトが見つけられるようにする。
なぜ、人は検索するのかを理解した上で、
あらゆる場面での、検索インテントに答えられるようにウェブサイトを最適化すること。
◯検索エンジンの仕組みサービス、ビジネスモデルを理解すること
検索エンジンは宇宙人が開発しているわけではない。ブラックボックスではない。
SEOは、Googleのランキングの仕組みを勉強することではない。
一般的にインターネットでユーザーが検索する際は、
どのようなアプローチが最適ととらえているかを学ぶべき。
日本のSEO業界は、基本的な検索エンジンの仕組み、彼らのビジネスとサービスを理解していない。
特許技術をアルゴリズムに組み込んでいるかではなく、検索エンジンの方向性を推測する
◯SEO担当者がチェックしておくブログ並びにメディア
Google公式ブログ
以下英語
bingの公式ブログ
High Rankings
Search Engine Journal
SEO by the Sea
補足として、CSSnite後にtwitterにて発信していました。
こちらもチェックしていない方は、チェックを。
Search Engine Watch
Search Engine Land
◯常に意識してほしい、3つの判断基準
機械が読みやすい?
ユーザーは便利だと思う?
それって普通?
◯SEO担当者が気を付けること
絶対に回答ができないことに時間を割かないこと。
SEOの問題じゃない事柄にSEOを持ち込まないこと。
わかったところでアクションに繋げる基準にならないことを調査しないこと。
妄想や幻想に基づいて事前対策しないこと。
◯SEOの勉強方法
事例の活用方法。
アイデアの引き出しを増やすこと。
他の業界のSEOトレンドを勉強すること。
◯データの扱い方、データを仕分けること
効果測定のためのデータ、トラフィック、コンバージョン以外に
外部リンク数までを定期計測すること。
アルゴリズムの分析は、ある時点において、
大規模な検索順位変動が発生した場合の傾向を把握しておく。
上司を説得するためのデータは別に作る。
◯SEOの施策内容を記録すること
施策が一年後に効くことがあるので。
Googleの公式発言は、鵜呑みにしないこと
Googleは神じゃない、頭の片隅に記録しておく。
ウソは言わないが、真実は隠す。
◯基本的な仕組み、考え方を学ぼう
他社の事例を見て、みんなが何をやっているか学ぼう。
大きいところではなく、ある商品に特化した商材を取り扱った小さなサイトを見る。
マーケティングとしてのSEOを再確認すること。
感想
普段の業務にてSEO担当者が行うべき業務や取り組み方、勉強方法から上司へのアプローチ方法まで
細かいながらも本質的な内容をお話いただきました。
特に、SEOをする上で検索エンジンの仕組みサービス、ビジネスモデルを
理解することが最重要なのではないかと感じます。
Googleも検索エンジンは、ボランティアで運用しているわけではなく、
1つのビジネスであり、サービスです。
Adwordsでは、部分一致の拡張具合が変化したり、
インプレッション数が少ないキーワードに関しては広告が表示されない、などの変化は、
まさしくビジネスとして検索エンジンを運用しているからだからこそではないでしょうか。
Googleがビジネスとして運用している検索エンジンというサービスの上で、
自社のサービスと顧客をどう結びつけることが健全なのか。
あらためて考えさせられる内容だったのではないかと思います。
海外企業インハウスの構造と対策にみるインハウスSEOのあり方
ハント肇子 氏

「撮影:飯田昌之」
◯欧米でのSEOの取り組み方、4つのモデル
・代理店
・代理店+インハウス
・コンサルタント+インハウス
・100%インハウス
欧米では、コンサルタント+インハウス、100%インハウスが増加している
なぜ、インハウスの割合が増加しているのか?
・イメージやメッセージを統一したい
・コストやリソースの無駄をなくしたい
・目標や取り組み方、レポートなどを統一したい
◯インハウスSEOでの守備範囲を整理
ブランド別の業務ごとに施策をするのではなく、
業務にフォーカスし、それをブランドに当てはめていく。
SEOが接するポイントを少数化していくことでリソースの無駄を省く。
◯中央化するものとブランド別に行うもの
・中央化していくもの。
サイト構造、デザイン
・ブランド別に行うもの。
キーワード調査、競合調査、競合対策
◯マーケティング手段を超えた最適化
ページ単位のランキング、パフォーマンス
全ブランド間のキーワードで社内競合を調査しデータレポートする。
SEOとリスティング広告での市場間のカニバリを把握する。
社内での情報交換を促進し、SEOへの理解度をあげていく。
◯他部門について学び、理解する
各グループにインタビューを行う。
スケジュール、目標、工程、SEOの現状、レポートなどの定期的な現状確認、
課題、対策、次のステップを情報共有する。
◯SEOに対する社内の理解と協力
SEOとインハウスチームでの説明会をもうける。
Web構築、コンテンツ、ローカライザーション、ローンチ、
全ての工程にてSEO施策を行えるように協力体制を作る。
◯インハウスチーム内のプロジェクトを明確にする
担当者レベルと管理者レベルでレポートを分ける。
SEOに終わりがなく、長期的に施策を続ける。
実際に業績に効果を与えることを証明する。
オフラインやソーシャルへの効果もレポートする。
感想
インハウスでSEOを行う際の理想のチーム像であったり、チームとして会社内の他部署のメンバーや上層部にアプローチする際は、
どのように取り組むべきかをご紹介いただきました。
SEOには終わりがなく、ビジネスが成長するにつれて
施策するべきSEOは変化するのですが、
人へのアプローチ方法に関してはブレることがないのだなと
改めて感じました。
Googleの最新動向から見るSEO会社の使い方
株式会社サイバーエージェント 木村 賢 氏

「撮影:飯田昌之」
◯インハウスSEOとSEO会社の比較
・インハウスSEO
自社のサイト、サービスをよく知っている
・SEO会社
ノウハウ蓄積、共有、情報収集のためのリソースにたけている
◯悩みや情報は4つで解決できる
人、モノ、金、情報
◯インハウスSEO会社の悩みでSEO会社で解決できるもの
リンクペナルティ&警告「情報」
様々なペナルティや注意のメール、ペナルティ後の挙動を
情報として多く持っている。
リソース不足「人」
インハウスではSEOに注力できなくても、
SEO会社に頼むことで、人で不足からは解消できる。
ツールやシステム 「モノ、金」
SEO会社保有のSEOを業務効率をあげるために開発したツールがある。
KPI共通化への活用方法 「人、情報」
外部からの方が説得しやすいことがある。
社内説得に必要な情報を保持している。
感想
インハウスでSEOをやりきるにも知識や情報はSEO会社には勝ることは難しいです。
その逆で、インハウスSEOチームにビジネスの内容にて
SEO会社が勝ることは難しいです。
どちらか一方ではなく、ちゃんとした協力体制がとれるのであれば
共存していくことも大事なのだと思いました。
Ask The SEOs
(株)セルフデザイン 鈴木 謙一 氏
Bill Hunt 氏
Gap Inc. 山田 研一 氏
AirAsiaExpedia Japan 株式会社 田中 樹里 氏
楽天株式会社 三澤 直哉 氏
株式会社インプレスビジネスメディア 安田 英久 氏

「撮影:飯田昌之」
◯自然検索流入からの直帰率が高いと、ランキングへ影響するのか?
直帰率をあげる要因は見ているかもしれない。
Above the foldやページ読み込み時間などは注意深くチェックする。
なぜ、直帰が高いのかを調べる方が先ではないか。
◯社内で提案する際に、具体的な収益予測も求められる。効果試算方法についてのコツなどありますか?
数値だけでなく、SEOが大事なことを伝えた上で、
トラフィック増大による収益増加予測を期待値込みで提案する。
ナチュラルリンクをリンクを買った場合の仮の値段でレポートする。
想定CTRを持って、掲載順位が何位にランクされたら、トラフィック増大予測を伝える。
◯マットカッツ氏の発言の信憑性は、どの程度?
そのまま鵜呑みにするのではなく、自分のサイトに置き換えたときに
どのようなメッセージになるのだろうと考えることが大事なのではないか
◯普段SEOで、どのようなKPIを設定していますか?
SEOの目的による。
経営陣はSEOのことなんてわからない。
色や図を使って分かりやすく。
売上、費用対効果。全体からのSEOからの売上の割合を示すとわかりやすい。
◯今後日本でも流行するSEOソリューションとは?
Google+などのソーシャルが影響する社内でのSEOを注意深く見ている
感想
インハウスでSEOを行う際での取り組み方への質問とSEOそのものに関する質問の2種類がありました。
渡辺氏、ハント肇子氏もセッション内でお話いただきましたが
レポートを提出する相手によって、内容を変えるのが
会社にSEOを浸透させていく上で、定石なのだろうと思いました。
外部リンク獲得のためのコンテンツプランニング
株式会社WEBライダー 松尾 茂起 氏

「撮影:飯田昌之」
◯なぜ、外部リンクが大事なのか
外部からのリンクはコントロールすることができない。
同じドメインに張られた各コンテンツは、ドメイン全体の力になる。
◯リンクが張られることについて考える
信頼できるサイトからのリンク
同じジャンルのサイトからのリンク
◯信頼できるリンク
ソーシャルは実在している人からのリンク
→今まではリンクを張りたくてもはれない人からのリンクが増えた
◯リンクを張る人の心理を考える
コンテンツを保存、人に紹介すること
保存…はてぶ
紹介…ブログ、Twitter、facebook、Google+、naverまとめ、Q&Aサイトなど
→紹介の方が多いが、twitterやfacebookはnofollowリンク
しかし、APIを用いた外部サービスには、nofollowで設定されているサービスが多い
◯紹介されるには理由がある
共感願望
自己顕示欲(例:診断系コンテンツ)
自己のブランド強化
◯紹介されるコンテンツを考える
どんなコンテンツが人気なのか
はてブ、Naverまとめでキーワード検索
まとめを作るのではない
誰かがまとめたくなる分割された濃いコンテンツを作る。
まとめを作ってしまうと、まとめのまとめにされてしまう。
◯よりセグメントさせる
よりシンプルなもの、より尖ったもの。
セグメントするから個性を発揮できる。
→自社コンテンツを見直し、分割すれば新たな魅力が生まれるかもしれない。
◯同じジャンルから紹介されるコンテンツ
・業界の情報が集まるハブサイトを運営する。
・人格を増やす。
競合他社が運営しているサイトと思わせないで、
ライバルサイトがリンクを張りやすくさせてあげる。
◯紹介されるには露出が必要
どんなコンテンツも露出しないと意味がない
各ソーシャルメディアの露出の流れを把握する。
影響力のあるアカウントがあると比較的、拡散が楽になる。
Twitter…匿名ゆえの拡散力
Facebook…実名ゆえの抑止力
Twitterでバズるとはてぶでもバズりやすい
Twitterと、はてブは連係することができる
はてブで呟くとtwitter でも呟ける
Naverまとめ
注目まとめに入るとトラフィックが集まる
まとめをつくりPVを集めてお小遣い稼ぎ
まとめのインセンティブがある
まとめたい人は本気でネタを探している
◯リンクを張ってもらうのに大事なこと
人を動かすということ。
ソーシャルメディア上でリンクを張ってもらうには人に共感してもらうこと。
リンクを張るのは人間だから。
感想
どのようなコンテンツを制作すれば、ナチュラルリンクを集めることができるかを詳しく解説していただきました。
以前はブログからのリンクが中心でしたが、
最近では、ソーシャルメディアからのリンクが中心ではないかと思います。
リンクを貼られる媒体こそ違えど、どちらの場合においても
人を動かさないかぎりリンクを貼ることはないので、
どのような訴求方法であれば人は動くのかを念頭に
日々のアイデアを広げようと感じました。
事例で考える『SEOの力』
辻 正浩 氏

「撮影:飯田昌之」
nanapiで行ったSEOの事例を紹介
◯nanapiの特長、魅力
ある程度品質が担保された様々なジャンルのノウハウが大量に掲載されている。
質の高いコンテンツが大量にある。
◯すべてにおいて優先するもの
ユーザーに指示されるかどうか
◯SEOの目的
より多くのユーザー様にnanapiをしってもらいたい
◯行った施策の一例
・無駄なページの検索エンジン認識解除
一覧ページのソート潤や絞り込みを適切に認識解除(一部を除いて)
・一部のソート、絞りこむは検索エンジンに解放を続ける
7つのジャンル、ページ送りの認識が約20ページまで、
1ページに20記事表示だと2800記事までにしか内部リンクを渡せていない
インデックスさせるページは絞りこみが必要。
ソートの並び替え順や検索に結び付かない絞りこみはインデックスさせない。
すべてのページをインデックスさせることが必ずしも最善な施策とはならない。
◯知恵が必要
SEOにおけるベストプラクティスはすべてのサイトに適用されない
SEOは知識だけではできない、ある程度の知恵が必要
◯徹底的な構造化
7つしかなかったジャンルが1000を越えるジャンルになった。
内部リンクを渡せるように、徹底的な構造化を行った。
◯継続的なコンテンツの増強
1年で記事が3倍前後に増加した。
◯検索結果でのPDCA
・検索結果での訴求を追及
ウェブマスターツールで検索結果でのクリック率を確認し
改善PDCAを回していった。
・魅力的な見せ方の追及
検索エンジンでの検索結果とソーシャルメディアのTL上では
クリックされやすいタイトルは異なるため、別々の表示ができるように
CMSの改修を行った。
◯成功の要因
ユーザー満足に向けたサイト運営
→ユーザー向け価値の向上
SEOの価値を全社的に理解し、サイト価値を検索エンジンに認識させる
→検索エンジン向け価値の向上
2つの価値向上を確実な状況把握の上で継続し、
爆速で改善サイクルをまわしたこと。
◯SEO担当者ができること
担当者ができることは、検索エンジン向け価値を向上させること。
ひととおりの知識、経験があれば成功の流れを担当者が作ることも可能
◯勉強するための環境づくり
まずは学習、トライ&エラーの環境、気軽に実践できるWebサイトをもつこと。
その際に、注意することは、失敗したときのために施策前の状態に戻すことができる方法でSEOの施行をすること。
◯成功へのサイクル
知識と経験を少しずつとつける
変化を把握する。
把握した情報を活かし、成果に繋げる
成果に繋がった実績をえる
実績から大きな動きをおこし、大きな成果に繋げる
小さな成果を大きな成果に繋げる
感想
nanapiというIT関係の人間にとっては、誰もが知っているサイトの事例をご紹介いただきました。
検索エンジン向け価値の向上は、必ずしもベストプラクティスが
そのサイトのためになるとは限らないという点に感銘を受けました。
SEOの目的は、ビジネスの目的ともなりえます。
どの手段をとることがビジネスにとって最適なのか。
ビジネスへの理解を常に注意しておこうと思うとともに
いつどのような手段が必要になるのかわからないので
様々な手段を用意するために、改めて勉強を深めようと感じた限りです。
最後になりますが
通常の業務がお忙しい中、各セッションをお話いただきましたスピーカー陣の皆様、
CSSniteのスタッフの皆様、そして発起人となった三澤さん
すばらしいイベントを開催いただきありがとうございました。
来年のイベントを楽しみに心からお待ちしております。