- 2013-04-08 (月) 7:00
- アクセス解析イニシアチブ | セミナー
この記事の所要時間: 約 11分28秒
3月27日のことで少し前のことになりますが、アクセス解析イニシアチブ主催で行われた「ユーザー行動から取り組むSEO」に行ってきました。
簡単な概要としては、第一部のnanapiの古川 健介 氏とフリーランスで活躍されているSearch Engine Optimizerの 辻 正浩 氏、第三部のタビオの真砂 輝男 様とアユダンテの江沢 真紀 氏に、ユーザー行動であるデータを活用して施策されたSEOの事例をご紹介いただいたのに加え、第二部ではGoogleのサーチエンジンクオリティチームから金谷 武明 氏にGoogleが考えるSEOをご紹介いただきました。
nanapiやタビオのような大規模なサイトのSEO事例は中々、お聞きすることはできないですし、GoogleはSEOという言葉すら好きではないと耳にしたことがあるので、どのセッションにおいても、大変貴重な場であったのではないかと思います。
セミナー内容をBlog等にアップしていいとのことなので、自分なりの言葉が多く含まれてはおりますが共有させていただきます、
レバレッジメモ
第1部
「実例で見る Googleウェブマスターツールを活用した ユーザー中心SEOの取り組み」
講師
古川 健介 氏(nanapi 代表取締役)
辻 正浩 氏(Search Engine Optimizer)
辻 正浩 氏
・ナナピとユーザーの検索動向ナナピは、やり方を探すハウツーサイトなので、対象となるキーワードは膨大な数になる。サイトとしては、いくつかのキーワードで構成されるキーワードの組み合わせや文章などのテール部分といわれる検索流入が多いのが特徴。
・効果を出すためには、効果が近い場所を施策する
検索流入がとれる場所とリンクが集まる場所というのは一致しないこともある。リンクが集まる場所から検索流入が取れる場所へ、内部リンクの橋渡しを行う。 リンクが集まる場所には、よりリンクが集まるようにコンテンツの増強や改善、検索流入がとれる場所には、ユーザー様が役に立つようなコンテンツを増強や改善を行う。
・ナナピでのテンプレート別にみる傾向
トップページ:大量のリンクが集まる。多くの流入は見込めない
テーマページ:リンクが少ない。ミドルキーワードでの流入が見込める。
記事ページ:リンクも集まりやすい。大量のテールワードでの流入が見込める。
リンクが少ないテンプレートページに、リンクが多いトップページ、テンプレートページから内部リンクをわたす。
・SEOをする上で求められる能力
SEOに関する知識や能力だけでなく、Web製作に関する知識や能力も必要になる。そして、十分で有益なデータが必要。十分で有益なデータとは、ユーザーとサイト運営者を繋げるコミュニケーション手段となる。アクセス解析と検索結果のデータも大事だけど、ウェブマスターツールのデータは、もっと大事。活用することでユーザー様とさらに強く繋がれる、繋がれることができる。
・解析ツールとは違う、ウェブマスターツールの長所
アクセス解析ではトラフィックに変化があってからではないとわからないが、ウェブマスターツールでは検索流入減少が発生する前に検知することが可能になる。また、アクセス解析ツールでは、確認するのに時間がかかってしまうことも、ウェブマスターツールで見方を変えることによって、短時間で原因を探ることもできた。
・ウェブマスターツール機能:クロールエラー
事前に検知できたのはこれのおかげ。特にサーバーエラー、その他、見つかりませんでした、の3つが重要となる。クロールエラーのポイントとしては、流入に影響する前に対策できる、定期確認で一番重要な部分。時間があれば全部見る。余裕かなければ、変化があった問題がある箇所を見る。
・ウェブマスターツール機能:コンテンツキーワード
メインコンテンツ以外の部分が出過ぎたり、重要ではないワードが出過ぎたら、マークアップや構造化に問題がある可能性がある。重要な単語が表示されているか確認する。特に大きくサイトを変えた時に注意する。ウェブマスターツールはディレクトリ毎に登録もできるので、細かく確認することも可能。
・ウェブマスターツール機能:クロールの統計情報
クロールされるページが一気に減り、ページのダウンロード時間が増えた時などは問題がある可能性が。大規模サイトでは極めて重要となることもある指標。ページのダウンロード時間はここでしか得られない情報。
・ウェブマスターツール機能:サイトリンク
変えるだけで大幅にクリック率が変わることもある。誘導したいページに誘導すること。ツール内では確認しきれないので、定期的に検索結果ページで黙視する事が大事。
古川 健介 氏
・ナナピを運営する上でGoogleの方を向いてサイトを作ってもしょうがない。Googleはユーザーが求めているものだけを見て考えて作っている。それならば、Googleと一緒にユーザーが求めているものを考えて作り上げていくのがよいのではないか。
・ユーザーが求めるいいコンテンツとは?
ハウツーはいろいろな方法がある。選択肢がきちんとある。それでいて探しやすい。わかりやすくするために実践したことは、徹底的に構造化を行い、ユーザーにわかりやすく、それも独自のハウツーに特化した構造化を行った。テーマわけの基準の検索キーワードは本の目次を参考にした。
・ウェブマスターツールのデータは宝の山でもある
SEOをする上で、重要になる部分として検索結果ページの表示状態がある。特に気を付けるのはタイトル部分。釣りタイトルといわれるようなものは絶対に避けなければいけない。
・具体的な改善方法
クリック率が少ないものを見ていく。クリック率が少ないものは、ユーザーが求めているものではないコンテンツが表示されているのでは?と、考えていく。CTR(クリック率)改善シートを作成し、平均より低いものからピックアップしていく。それも、変更後のインパクトが大きいところから改善していく(表示回数など)。
もしも表示したいページと、別のページがヒットしていたら、記事から内部リンクを貼り、本来ヒットしたいコンテンツにリンクを渡していく。
・タイトルをはじめとするスニペット部分の使い分け
サイト内で表示されるタイトルと検索結果ページで表示されるタイトルは異なるべきではないか?(パンくずやディスクリプションも。)ソーシャルでのタイトルも違うべきではないか?
検索結果ページのように幅広いキーワードで流入が見込めるユーザーに対し表示されるタイトルは、サイト内でのみ表示されるタイトルや見出しをみるユーザーは別なのではないか。後者は、リピーターや何かのリンクを踏んできたユーザーが大半なのではないかという仮説をもとに、タイトル、ディスクリプション、パンくずの表示わけをしている。
・施策をする人と、その考え方
やるべきこと、考えることはシンプルでユーザーを考えてサービスをつくること。突き詰めていくとこの考えが合理的になる。仮説、検証、実行のサイクルを1日に何回もサイクルを回す気持ちで施策をする。そのためには、できるだけ意思決定に近い人がやるべき。Webサイトでの表現や手段は、ビジネスの根本に関わること。施策する人とのズレを減らす、無くす。
Googleがユーザーのためにならない検索結果を返すということは考えづらいので、継継続的によいサービスを作り続けていくことが大事。
第2部「ウェブ担当者に知ってほしいホワイトハットSEOの基本と誤解しがちなポイント」
講師
金谷 武明 氏(グーグル サーチクオリティチーム)
・Googleが定義するホワイトハットSEOとは?
Googleが作成した検索エンジン最適化スターターガイドにそった施策をしていること。
・ホワイトハットSEOでは上位表示は難しいのでは?
上位表示は手段の1つであって目的ではない。
・特に重要な施策とは
ユーザーにとって魅力的で価値のあるサイトをつくること。
Googleがクロールしやすいサイトをつくること。
Googleがインデックスしやすいサイトをつくること。
ネット上だけでなく、オフラインでの評判を集めること。オフラインでの評判が、自ずとオンラインにも影響されることもある。
・「検索の仕組み」について
先日アップロードされた「検索の仕組み」のご紹介。検索の仕組みを解説しているだけでなく、スパムに関しての情報もスパムの実例として、スクリーンショットを交えて紹介しているので参考にしてほしい。
・その他の最新の取り組みとして
ハングアウトの開始、Google+でのコミュニティページの解説
第3部
「検索キーワードからユーザーを描く SEO活用の課題とポイント」
講師
真砂 輝男 様 (タビオ 執行役員)
江沢 真紀 氏(アユダンテ)
・キーワードからリニューアルした事例
2010年施策したデザインリニューアルと合わせてSEOを導入したタビオさんの改善事例をご紹介いただきました。
・何をやったのか?
外部リンクの購入は、過去から現在も含め一切行っていない。内部施策のみを行った。内部施策とは、Googleアナリティクスやウェブマスターツールの設定とそのデータ調査、分析からはじまり、キーワード調査やサイト構造、カテゴリの設計、画面レビューなどの設計、レビュー、そして開発要件である技術支援。
・サイトのタイプとSEO施策
大規模サイトや商材限定型サイトなど、サイトによって重要なSEOポイントは異なる。大規模サイトであればサイト全体の最適化、商材限定型サイトであればキーワードを狙い撃ちした施策を施す。
・属性からアイテムへ
検索されるキーワードがアイテムだったから
・ユーザーニーズを考える
想定されるターゲットユーザーと検索ニーズを考える。ブランド検索、アイテム検索、属性検索、ハウツーものの検索。
・キーワード調査
キーワードは想像や勘に頼らず、必ずツールを使う。ツール場合、キーワードウォッチャーやadwordsキーワードツールを利用する。
・サイト構造の変更
施策前のサイト構造は靴下屋さんの店舗経験から属性カットだった。タビオさんで重要なのはアイテム関連キーワードのアイテムからのサイト構成だったので、無理を言って体制を変えてもらった。SEOでの大きな成功要因のひとつ。
・検索ワードとコンテンツのマッチング
ユーザーの検索ワードに対してどのようなページを返せば最適なのかを考える。例え、属性がわかれるような商品だったとしても、ワンクリックで最適なページに遷移できるようなランディングページとのマッチングも大事となる。
・有効なキーワードを増やすこと
上位表示させたい言葉に関連する有効なキーワードを増やす施策もした。重要なのはアイテムキーワードなので、商品を分類するアイテムカテゴリの見直しを行った。キーワード調査で発見した様々なキーワードをカテゴリに追加していった。ページ価値を最大化するために、カテゴリ説明文を手で作成していき、様々なキーワードを盛り込んでいった。
・SEOとはマーケティング手段の1つ
SEOとは上位表示ではなく、上位表示を利用したマーケティング。ユーザーニーズをくみ取った上で、アクションにつながるアプローチを繰り返していく。大事なのは、お客様とビジョンと目標を共有する事。
感想
各セッションを通して強く感じたことは、有益なデータを正しく取得し、それをビジネスの根本に近い人(もしくはその協力者)が、改善施策を高速で確実に回すこと、実行すること。の大事さです。データとは取得しているだけで、有効な利用ができていないのならば無価値となりますし、利用できているとしても、本来のビジネスとは違う方向性でも、そこから離れていてもいけません。そういった意味で、SEOやリスティング広告をはじめとするSEMは、Webマーケティングにおいては手段の1つでしかなく、それ自体が目的となってしまってはいけないと改めて感じました。nanapiの代表である古川氏が先頭となって手を動かし改善施策のサイクルに参加されていることや、タビオさんがWebサイトのSEO施策の効果を最大化するために業務体制を大きく変えられたことは、改めて素晴らしいなと感じた次第です。
そう感じてこのまとめ記事を書いていたのですが、その最中に届いたアクセス解析イニシアチブからのメルマガに後ろからどつかれたような気分になりました。
【メルマガコラム】知っていたけど本気で取り組んではいなかった
そうなんです。きっとほとんどの人は、知っているんだと思います。本当の成功は、たくさんの泥臭いことや、汗も涙も流す努力の上になりたっているんだということを。自分も薄々気づいてはいました。そして、本気にならずどこかで後回しにしてきたことも多くあったのではないかと思います。
第二部でのセッションにおいて、Googleの金谷氏から最近のGoogleの活動をアナウンスしていただきました。過去のGoogleとは比べ物にならないくらい、情報を提供してくれるようになったと思います。ただし、自分としてはどこかで逃げている部分で、しっかりと読みきってはいないものばかりでした。そこにあるのは知っていたけどやらないものばかりでした。
検索の仕組み、ハングアウト、Webマスターヘルプ。まずはここから泥臭く、しっかりと覚えていこうと自戒しました。
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